睨みつけてくる男
私は一度、生霊をくっきりと肉眼で見たことがあります。霊能者ではないのですが、あの時ほどはっきりと見えたのは初めての経験でした。
その日は友人と地元のガールズバーで楽しく飲んでいました。カウンターで横並びに座り、背後のボックス席では、若い男性が両側に女性キャストを侍らせて賑やかに飲んでいるのを見かけ、「楽しそうだな」と思っていました。
途中、何度か後ろを振り返ると、やはり楽しく飲んでいるお客さんたちとキャストの姿があり、バースデーケーキが出て、私たちも拍手してお祝いしました。そのまま友人と楽しい時間を過ごしていたのですが、やがてお店を出る時間が近づきました。
友人が先に出口へ向かい、私も続こうとした瞬間、ふとボックス席を振り返ると、見知らぬ男性が座っていました。先ほどまでいなかったはずのその男性が、まるで合流してきたかのように端の席に座っていて、じっと私を睨みつけていたのです。
「うるさくしすぎたのかもしれない」と思い、軽く頭を下げて謝りましたが、相変わらず鋭い視線をこちらに向けていました。これはトラブルになるかもしれないと感じ、その場を急いで離れました。
後日、再びその店を訪れた際、あの日のボックス席のことをキャストに尋ねました。「私たちがうるさくて迷惑だったのでは」と気にしていたのですが、彼女は「ボックス席のお客様は楽しく飲んでいた」と言い、どうにも話がかみ合いませんでした。よく聞くと、その日ボックス席には、キャスト2人を侍らせた男性客1人だけだったというのです。
生霊目撃
信じられず、エスコートの方が伝票を確認してくれました。結果は同じ。あの日、ボックス席にいたのは男性1人だけで、私が見た男性は誰もいなかったと言うのです。
それまで誰にも見えないものを私だけが見た経験などありませんでした。けれど、確かにあの時、髪が天然パーマ気味で、大柄な男性が白いスポーツシューズに薄茶色のチノパン、白系の長袖パーカーを着ていたのを見たのです。しかも、夏真っ盛りの8月の夜に、長袖のパーカーなんて暑い時期です。それに、他の人たちが彼を全く気にしていない様子も不自然でした。
「じゃあ、あれは生霊だったのか」と冗談めかして言うと、キャストさんが「その日ボックス席にいた男性客が、キャストの一人に執着していて大変だった」と教えてくれました。彼女もその男性に悩まされていたそうです。
後日、その男性に悩まされているキャストさんと話す機会がありました。彼女が見せてくれたその男性の写真は、私が見た姿とまったく同じで、驚きました。あれが生霊だったのか、科学的な根拠はありませんが、確かに異常な体験でした。
あの日の晩の異変
余談ですが、その晩、私の家でもちょっとした異変が起きました。玄関の照明がスイッチを入れても片方だけ消えなくなったのです。何度スイッチを操作しても反応がなく、電球の寿命かと思いましたが、翌日には元通りに直っていました。
もしかすると、あの男性の姿を見てしまったことで「見えている」と認識され、連れて帰ってきてしまったのかもしれません。それ以来、玄関には盛塩を置くようにしました。

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